「迷惑とか思ってないから。
そんなことより、立てそう?」

そう言って少し微笑みながら心配してくれた。


──野上くん、優しいなぁ。

その優しさに胸がドキッと高鳴った。

なんとか立って、堤防にもたれ掛かり、野上くんに視線を向ける。


──なんか探してる?

ポケットや、カバンを漁っている野上くんを見て思った。


「持ってないかー。
ごめん、ハンカチ借りていい?」


頷いて、ハンカチを渡すと、ちょっと待ってて。と言われた。

どこ行くんだろ──…

走っていく野上くんを見て呆然と立ち尽くす。


「ごめん、お待たせ!」

5分もかからずに戻ってきた野上くんの手には、ペットボトル。


「ちょっと足上げれる?」

それをハンカチに、かけたかと思うと足に巻いてくれた。


「あ……ありがと」


なんで、こんなに優しいのかなぁ────…

その優しさに、またドキドキして目を合わせられなかった。