──side苺──
今日は、帰り1人だぁ──
春菜と香歩は部活に行っちゃったし。
実咲は用事があるからって慌ただしく先に帰っちゃったし。
──1人なんて久しぶり。
どうしよっかなぁ──。
そう思いながら空を見ると、黒い雲が広がっていて雨が降り始めていた。
──え!? うそ!?雨!?
傘持ってたかなぁ。
カバンの中を探しながら階段を駆け下りて、靴箱へと向かう。
靴を履き替えている最中でも雨は強くなっていく。
───ついてないなぁ。
傘、ないし、どうしよう──。
そう思いながら出入口で立ち止まっている時だった──
後ろから、少し低い声が聞こえてきてドキッとした───
一瞬で誰だか分かり、胸の高鳴りを感じながら振り向いた──