──俺が葵本のこと気にしてんの誠也にバレてんのかな──……


照れを隠すかのように──
含み笑いをする誠也の首に軽く腕をかけて返事をする。


誠也は、ギブギブッ!と言いながらも笑っている。


そんな俺らを見て、皆も笑っている。

そんな中、俺の目が止まったのは──



──ほんのり頬を赤く染める無邪気な葵本の笑顔だった。



クラスで何度か笑顔を見たことは、あったけど、こんな近くで笑顔を見たのは初めてで──

その笑顔を見て、なんだか俺も心地が良くなって笑ってしまった。



葵本に少しだけでも近付けたような気がしたんだ──。


チャイムが鳴る頃には、ひと通り皆で話が出来るようになっていて、笑いながら教室に戻っていった──。