ワックスでセットしている髪の毛は、一瞬で崩れるだろうな──…。


「やめろって!
─…俺が悪かった!」


俺が手を伸ばした瞬間、すぐに謝ってきた誠也に、つい笑ってしまった。


そんなにも、髪の毛を崩されたくないのか。


「なに笑ってんだよーっ」


「べつにー。ってか、誠也っ!んなことより、後─…8分っ!」


笑ったのをごまかすかのように時間を言って誠也を焦らせる。


「マジで!? やべーっ!」


いつも通りの掛け合いも終わって、俺らは、校門へと滑り込んだ。