「なに泣いてんだよ、壱ー」

「べっ…別に泣いてねーし!」

誠也の言葉に、ごまかすように服の袖で目を擦った。


皆も席に着いて、料理を食べて笑いながら話をしていた。


「これも切り分けねーとな♪」

そう言ってテーブルの真ん中にあるケーキを切り分ける章吾。

大好きなショートケーキ。


食べてみると中に挟まってるのは、イチゴジャムだった──…。


「壱、どう?」

「美味しいー?」

誠也を始め、古河たちも俺の顔をまじまじと見ながら言う。


「──…上手いよ?」


不思議に思いながらも答えた。

そんな俺の言葉を聞いて、皆が一斉に喜んでいた。


そんな皆を見ながら、俺の頭の中では疑問が飛び交っていた──…。