尻餅をついたおかげで、
あたしは今、注目の的だ―……


──……恥ずかしい。


恥ずかしさのあまり、実咲の声も、あまり聞こえてこない。



「─……わりぃ。立てる?」


そう言いながら、差し出してくれた大きな手。


その手を見上げると同時に
一瞬見えた黒髪と男の子の顔。


ドキッとして、目を合わせることが出来ずにパッとそらしてしまった。


「だ…… 大丈夫です…」


そう言って、立とうとするけど痛くて立ちづらい。


「立てないんでしょ?
すぐにチャイム鳴っちゃうよ。」


そう言って、あたしの手を掴んで起き上がらせてくれた。



─……ドキドキ。
鼓動が早い─……。


心臓爆発しそう─……


そんなあたしに
このときの彼の表情を見る余裕なんて無かった─……。