その日から、あれもこれも次から次へと家の中の物は無くなっていった。全て金に変わった。


友達が遊びに来たら映画館みたいだねって驚いて興奮する程の大きなテレビも、お父さんが休みの日には念入りに洗車をしていつもピカピカだった高級車も、次から次へと、金に変わっていく

思い出が、金に変わっていく



毎晩、泣いてた。
お金なんか大嫌いだって泣いた


"大切な物を削って生み出すもの"それが華那子の金の見方になった。幸せはお金で左右される事は9歳で学んだ。



削られてくくらいなら、最初から無い方がマシだと思った。何もなくていいから、母にもう一度笑ってもらいたかった。