いつもはカーテンを閉め切っている私の部屋。

真っ暗で、静かで、ひとりぼっちという感覚をいっそう強く感じさせる場所だ。



だけど、どうしてだろう。今日は強い陽の光の眩しさに起こされた。

あたたかさを感じながら無意識に耳を傾ければ、遠くに聞こえるのは波の音。



「……ん……」



ぱち、と目を覚ますと、目の前には木目の天井がある。

丸い形の古い電気の傘がぶら下がった、見慣れない景色だ。



ぼーっとした、まだ寝ぼけた頭のまま呼吸をすれば、慣れない家の香りがした。



ここ、は……。

自分のうちじゃ、ない。どこだっけ。



敷き布団の上で体をゆっくり起こして辺りを見渡せば、そこは広々とした和室だった。

畳が敷かれ、部屋の奥には掛け軸がかかった床の間がある。

窓際の障子は太陽の光で透けて、明るい陽射しが室内を照らす。



……そっか。ここ、新太の家だ。



昨夜、出会った彼……新太に連れられやってきたのは、東京の隣、神奈川県・湘南。

そこにある、この2階建ての大きな日本家屋が、新太の住む家なのだという。



そういえば昨夜、バイクの後ろに乗ってこの家まで来て……なんだかどっと疲れが出てしまった私は、部屋に案内された途端すぐ眠ってしまったんだっけ。

掛け布団をめくり自分の姿を確認する。服も昨日のまま、パーカーにデニム、靴下すらも脱いでいない。



でも、確かに私はあそこから連れ出して、とは言ったけど……まさか隣県に連れてこられるとは思わなかった。

やって来た先が意外に近く、少し拍子抜けというか、安心してる自分もいるというか。