優香さんに向いていた二人の視線がゆっくりと向けられる。柔らかい笑みを浮かべた二人は揃って小さく頭を下げた。



「始めまして、悠斗です。これからよろしくね」



思わず口を開けて二人に見とれていた私に、そう声を掛けてくれたのは悠斗さん。茶色気のサラリとした髪に、心臓がバックバックと鳴る甘いマスク。



スーツをすらりと着こなし、長い脚が嫌でも目に入ってしまう。背も高いし滲み出るオーラがまずそこらの人とは違う。何だこのイケメン。


向けられる視線はとっても優し気で、まさしく携帯小説で出てきそうな美少女の優しくカッコイイ兄役の理想像だった。


……カッコイイ。




「こっちは妹の美優。仲良くしてやってね」




ぼうっと悠斗さんを見ている私に悠斗さんは微笑みを浮かべ、隣にいる美優さんの肩に手を置いた。



「…美優です」




美優さんはそう言って綺麗な笑みを浮かべた。



……何て美人。



白いシフォンのワンピースから覗く手足はとっても細い。悠斗さんと同じ茶色気のある髪は胸まで伸ばされているが、そこに痛みの欠片一つとして見当たらない。




顔もとっても小さくて、それなのに目は零れ落ちそうな程大きく、くっきりとした二重や長い長い睫に思わず見惚れてしまいそうだ。




何て儚げなの…。




隣りに並ぶ二人は本当に絵になる。



甘い顔立ちの悠斗さんと綺麗な顔立ちの美優さんは似てると言えばその目の大きさと髪色ととんでもない美形と言うことぐらいで、兄妹と言うよりも恋人であるかのように思えてしまった。