甘美なキョウダイ





美優は悠斗を睨んだ。それはそれは迫力を携えて睨んだ。



「……美優はどこがいい?グアムに行きたいって言ってたよね?」



そんな美優の視線など悠斗は気にもせず美優に笑みを向ける。


美優は本気でテーブルに置かれている高いティーセットを叩き割りたい衝動に駆られていた。



「……行きたいのはイギリスとフランスとドイツとニューヨークよ。グアムはその次」


だがヒステリックに陥ることはなく、怒りを耐えて絞りだすように要望を出した美優は机の下で悠斗の太ももを抓った。


かなり強く力を入れているが悠斗が全く気にしていないので、遂に抑えていた怒りを美優は表に出そうと……



「流石に遠いわねぇ」



したとろこで、そう野次を入れてきた声にハッっと美優が今自分が置かれている状況を思い出した。


そう、あの家で全員集まって旅行の計画を立てていると言う屈辱的な状況を。