甘美なキョウダイ







それから場が静まらないうちに三人は散々騒ぎを起こしたカフェから出て、愛を家まで送り届けてから美優と悠斗はマンションに戻った。




もう暗くなっているため高い部屋から周りの都市の夜景を見ながら、美優は悠斗の隣で悠斗の腰に手を回していた。





「ふふふ、でも本当にアイとの写真よく撮れていたでしょ?」




美優は悠斗にあの写真を送ったのは悠斗をあの場に引き出して場を盛り上げるため、と言う目論見もあったが一番の目的は今日もあの家に帰らずにここにいることだ。



一番手っ取り早いのは悠斗を煽ること。




美優にゾッコンな悠斗を煽るのは美優にとって容易いし、あの家では美優は精神的に弱っているため悠斗に縋っているだけでこのマンションでは美優は悠斗を翻弄することもしばしばあるのだ。





「……スマホを叩き割るところだった、と言えば満足?」




今だって悠斗は簡単に翻弄されている。美優に鋭い視線を向けて怒りをあらわにしながらも、美優はどこ吹く風で悠斗の腰に猫のようにまとわりつく。






「十分よ」




「……なら二度とあんなことがないように躾をしなきゃかな」



「あらそう?十分従順だと思うけど」




するりと悠斗の膝の上に軽やかに移った美優は、この調子だと悠斗の太ももを手でなぞる。そのまま徐々に上へと手を進めていったところで…







「なら従順な猫チャンは俺の言うこと何でも聞くよね?」





と、突然そう言った悠斗に驚いてスキを作った美優。それを見逃さなかった悠斗が美優を引き寄せ美優から酸素を奪い、そのまま十数分かけて美優をぐったりとさせ、美優を車に乗せてあの家へと向かった。





翻弄される悠斗でも、一筋縄では絶対に行かないことを忘れてはならない。