甘美なキョウダイ






そんな私が優香さんの言葉に何か上手いことを返せるわけでもなく、そうなんですね…としか言えなかったけど優香さんはそれを気にする様子はない。



寧ろ上機嫌でニコニコとしている。



そんな優香さん越しに車の窓の外を見るともう日は落ちていて辺りは暗かった。



車内には悠斗さんの趣味なのかお洒落な洋楽が流れていて、それがバッチリ悠斗さんに似合うもんだから流石だ。



チラリとまた悠斗さんに視線を向けると、ふと悠斗さんが顔を美優さんの方に向けたので咄嗟に私は悠斗さんから視線を逸らした。



しかし見られているとバレたくないチキンな私だが、絶好の横顔を拝む機会に耐えられずこっそりと視線を上げてしまう。



横顔も素敵なんだから本当に悠斗さんは非の打ち所がない。




「ごめん美優、これ開けて」



うっとりと聞き入ってしまう甘いボイスで悠斗さんはペットボトルのお茶を片手に取り、美優さんに手渡した。



私ならそこで発狂するか腰でも抜かしてしまいそうだが、美優さんは同じ美形だからか兄妹だからかそんな馬鹿な行動を取るわけがない。




「……はい」



これまた鈴の鳴るような可愛らしい声でそう言いながらキャップを開けたペットボトルを差し出した美優さん。



悠斗さんはそれを受け取って口につけ、器用に運転しながら水分補給した悠斗さんはまた美優さんにお茶を手渡した。



……どうしてお茶を飲むだけでそんな色気を漂わせることが出来るのだろうか。



……ダメよ、これ以上見惚れるのはダメよ!いくらカッコいいからってこの人が私のお兄さんになるのだもの。




……こんなイケメンが私のお兄さん?いやもう本当にこれはこんな美形親子を捕まえたお父さんに感謝するしかない。




うっかり見惚れてしまった私は正気に戻るよう自分に言い聞かせ、正直優香さんと釣り合ってるかと言われれば首を傾げてしまうようなお父さんに意識を飛ばした。