「ふふふ、もう拓弥(たくや)さん着いてるって」
そう言って綺麗に笑った優香さんだけれど、私は今正直それどころじゃなかった。
心臓が…心臓が、痛い!あり得ない程バグバグと言っていてもう手汗がさっきからヤバい。
そう今はレストランへ向けて移動中。たまにお父さんが連れて行ってくれるレストランで、ホテルの最上階にあるので眺めがとっても綺麗なの。
でも正直今から景色を見る余裕も食事を味わう余裕もないだろうと確信している。
だって同じ車内に乗っているだけで、美形兄妹は運転席と助手席、私と優香さんは後部座席に座って少し距離があるのにこの緊張感だ。
……あぁ、無理無理無理。
悠斗さんの車にお邪魔している訳だけどもういい匂いはするし何の外車かは分からないけどカッコいい車は悠斗さんにこれでもかと言うほど似合っているし、何よりもこの角度からは悠斗さんの運転している横顔が視界に入ってもう私の心臓は悲鳴を上げていた。
あぁ無理カッコいい無理!!
チラチラと盗み見てしまうのは不可抗力だ。


