甘美なキョウダイ






そのままどれ程の時間が経ったのだろうか。



ガチャ、と扉の開く音に美優は思わず飛び起きる。



時間で言えば一時間も離れていないのに、それだけでも一人で過ごすことにゴッソリと精神が抜け落ちるほど疲弊した美優が、母親に呼ばれ帰って来た悠斗を出迎えた。




「美優、ごめんお待たせ」



悠斗は自身を視界に入れた美優が強張った顔を柔らかい笑みに変えたのを見て一息つく。



スタスタと迷いなくベッドの前まで来た悠斗は、美優の頭を撫で、身を屈めて小さなキスを落とした。



美優はやっと悠斗が帰ってきたことに心から安堵し、更にキスを求めるよう自分から離れていく悠斗の唇を追う。



悠斗はそんな美優を見て中腰の体制から、ギシリとベッドに片足の膝を乗せて体重をそこに掛けてバランスを取り、手を美優の頭の裏に添え自身の唇に強く美優のそれを引き寄せた。



性急に事を進めようとした先ほどとは違い、悠斗はゆっくりと美優の唇をついばみ、美優の唇が開かれてもまだ舌はいれない。



酷く穏やかなそれは美優の心を溶かしていくかのようなもので、けれど美優には物足りなさを感じさせていた。