パタン、と閉められた扉を見て美優は小さく息を吐いた。
……あーあ、と内心呟き悠斗のベッドに寝転がる。
マンションにあるキングサイズとは違いセミダブルしかないベッドは自棄に狭く感じて、臭いも慣れない匂いで快適とは程遠い。
「……どうにかしなきゃ」
そう、どうにかしなきゃ。このまま大人しくここにいるつもりはない。
どうやればここに来なくて済むのだろうかと考えを巡らせる美優。
きっと悠斗のマンションに籠る理由はいくつも浮かんでいるのだが、いつかはこちらへ来なければならない。
今はまだ悠斗の仕事が落ち着いている時期なのでこうしてべったりと悠斗に張り付く時間があって、悠斗と共に行動出来ていたとしてもいつかは一人でここで過ごさなければならない時が来る。
それを想像するだけでゾッと美優の腕に鳥肌が立った。
細い腕を細い指でさすりながら、言い表せない恐怖に美優は唇を噛み締める。
どうすれば。何かいい考えはないのか。
でもいくら考えてもいい案何て浮かばず、美優は目を閉じ顔を両手で覆うだけだった。


