NO side *




車庫に止められていた外車に、悠斗と美優は乗り込む。



二人に先ほどのような柔らかい笑みは浮かんでいない。無言のまま悠斗は車を出し、これから通わねばならない家を後にした。




「……悠斗」




美優はそっと運転中の悠斗の片手を取り、傷一つない両手で握る。



そのままその手を自身の頬へ寄せ、目を瞑った。



悠斗はそんな美優を見て優しく笑みを浮かべる。



「直ぐ家に着くから」




美優の頬に添えられた手で美優の頬をそっと撫でた。