今さっき、鬼だと言ったことを
撤回しよう
いや、鬼かもしれないが
飴と鞭をうまく使い分けているのかもしれない



「お前、二度と立花葵に近づくな。彼女は俺の婚約者だ。もし、彼女に付きまとうようなら……貴様を抹殺する」



それだけ言って通話を切った
言いたいことはある

勝手に秀人と話すなっ!
婚約者じゃないっ!!
抹殺するってなんだよ!!


けど、今はそれどころじゃ無い
井内さんの優しさが
嬉しくて、涙が止まらないんだ



「これだから、女性は面倒なんですよ。感情を抑えられなく、涙を流す。別に悪くは無いですが、目の前で泣かれると、どうしていいか、わからなくなる」


そう言いながらも
井内さんは私の頭を抱え込み
自分の胸へと押し付けた


涙が止まったら
さっきの事、追求しよう
そして、否定してやる
そう思いながら
井内さんの胸を借りることにした