秀人が何を言おうが
私には嘘でしか聞こえない


水沢雅美の事を突きつけても
秀人は私との復縁を求め
水沢雅美とは別れると言ってきた

子供は?と聞けば
おろさせる、と言い放った



私は…この人の何が好きだったんだろう
見る目がなかった、と
簡単に片付けられるような
そんな短い期間では無い

大好きだった秀人との思い出が
一瞬にして頭に浮かんできた


くっ…、


もう、何も話せない
スピーカーから発せられる
秀人の声も、雑音に聞こえる



いつの間にか溜まっていた涙が
人粒、流れた時
私の耳に当ててあったスマホを
井内さんはタップし
スピーカーを解除した


そして、そのまま自分の耳へとスマホを当てた
何をするのかと、ただ見ていた私の頬に
井内さんは優しく触れ
涙を拭ってくれた