さっきまで青い顔をしていた秀人
…が、明らかに様子が違う
『…ひ、でと?』
「…葵は、やっぱり優しい女だ」
クククッと喉を鳴らして笑う秀人に
若干戸惑う
「話を聞いても、俺に確かめて…俺を秀人と呼ぶ…。はぁー、やっぱり葵しかいないんだよなぁ」
椅子の背もたれに身体を預け
なぜか嬉しそうに目を細め
私を見つめている
「離婚は成立する。子供達は今の環境を変えるわけにいかないから、お袋たちに任せる。俺は家には戻らない。俺はこっちで、葵と生きていくんだ」
私の耳に届いた身勝手な言葉に
この人は本当に私がかつて大好きだった秀人なんだろうかと思う
「身勝手なのにも程がある」
秀人の視線を遮るかのように冷たい声
そして、
秀人に見えないテーブルの下で
温かい井内さんの手で
優しく握られていた

