自分の気持ちの変化を秀人にひとことも伝えていなかった
変化に気がつくなんて無理だ
だから…、
浮気して良いってわけじゃない
なら別れてから
次へ行ったら良い話だ
『ごめん、言わなくて…』
それしか言えない
「葵、やっぱりーー」
私の目を見て何かを言おうとした時、
失礼、とテーブルの傍に立つ
目をやれば…
まさかの人に目を見開いてしまった
「こんばんは、葵の婚約者の井内です」
軽く会釈をしている
なぜ、井内さんがここにいるのは
私の頭はパニック寸前だ
「…こん、やくしゃ?」
私同様驚いている秀人
数ヶ月前に別れた私に
婚約者と名乗る男が目の前にいるんだ
だれでも驚くだろう
秀人が私の方へと視線を向けるが
私の視線は井内さんに向けていた

