*中津先輩*

…しかし。


バタッ…

コートに鈍い音が響く。


ロブボールは落下し、スマッシュを打たれることなく、虚しくバウンドを突いた。


「…中津先輩!!」

あたしは思わず、フェンスを掴んで叫んだ。


その試合を観戦していた人々が息を呑み、コート内を見つめる。

その先には、なんとぐったりと倒れた中津先輩がいた。


「悠人…!」

河村先輩はラケットを放り投げて、中津先輩に駆け寄る。