*中津先輩*

中津先輩は部屋の手前にあるタンスの中をごそごそと探ると、取り出したタオルをあたしに手渡した。


「雨に濡れたまま、北原を家に返せないだろ?」

「あ…ありがとうございます」


あたしは渡されたタオルで髪を拭く。


寮生活とは聞いていたけど、実際、寮の部屋へくるのは…これが初めて。


だけど、この部屋へ入ったとき、中津先輩の匂いがした。

中津先輩は、ここで生活してるんだって思えた。