「……どなた?」
「えっ、うぅ……あぁ……」
頑張ってよあたしの口っ!!
でもでもっ、だって目の前に佐藤くんが!
やっぱ何でもないでーす!なんて無理ですか?無理がありますか?
「あ、の……っ!あたし、いっいっ……
いしです!!!」
「……石?」
「……あっ、」
違う違う違う!!!
なにが石だ、ストーンだよっ!!
「い、石井 心結……です……」
最後の方は聞き取れたか分からない。
デクレッシェンドでもかかってんのかってほど、だんだんと小さくなっていったあたしの声を。
「……あぁ、石井さん。僕に何か用があるから来てくれたんだよね?
どうしたの?」
いつの間にか佐藤くんはドアからひょっこり出てた姿勢から、ドアの前に立ってニコニコこっちを見てる。

