高校で周りが俺の髪の色も


入学式の一件もボチボチ話題にしなくなった頃


俺は安定した日々を過ごしていた。


フツーに授業出て


たまにサボって


そんな日の繰り返し。


俺はトオル先輩の横にいることが多くなっていた。


相変わらずトオル先輩は俺をジンと呼び


俺はトオル先輩と呼ぶ。


でももう敬語は使っていない。


トオル先輩はもとからそうゆうことにこだわらない。


俺は申し訳なさを時折感じながらタメ語で話すが


なんとなく気分がよかった。


トオル先輩を身近に感じたし


何より周りからの羨望の眼差しを感じたから。


時間が経ってから気付いたがトオル先輩は校内でかなりの人気者だ。


誰にでも愛想がよく、優しく、ノリがよく、勉強もスポーツもできる。


とりわけ驚いたのはトオル先輩が一年の時陸上部のエースだったこと。


200M走の全国2位。


マジ焦る。


入学式の日に階段をあのスピードでかけあがって息一つ切らさないのも頷ける。


なんで辞めたのかは聞いてないが多分ケガかなんかだろう。


トオル先輩は英雄なんだ。


そんな人の隣を与えてもらえる俺は


優越感にも似た感覚を持っていた。