ユキが愛おしそうに、包み込むように彼女を見つめる。


あんなユキの嬉しそうな顔をわたしは初めてみた。


あんな顔、出来るんだね。ユキ。


いつもユキは気怠そうな、無気力な顔をしていたから。


そして、自然に手を取り合いユキは街の雑踏の中へと消えていった。



『…ごめんな。愛してやれなくて』


これがわたしに向けられた最後のユキの言葉。


「ユキ、幸せ?」


わたしは、


わたしは……。