でも、あたしは遊女。 「ありがとうござりんす。また会える日を待っていんすにえ。」 (待っていんすにえ。とは待ってますの意味。) と、彼の背中にそっと触れて見送った。 彼は大門の下で一度振り返り、数秒後、 外へ歩き出て行った。 待って行かないで。 気持ちが溢れた。 彼の背中が見えなくなるまで、あたしは、 一人見送っていた。