「切らないよ」


「なんで?」


「なんでも」


あたしはそう返事をして、相撲をとっている2人に視線を移動させた。


あまり良くない部分に踏み込まれたせいで、心臓がドクドクと早くなっているのがわかった。


嫌な汗が背中を流れて行く。


せっかくここに来て男子たちと普通に会話できているのに。


嫌な思いをしなくてもすんでいるのに。


「ショートカットも似合うと思うけど」


「全然似合わないから」


あたしは突き放すような言い方をして和を睨んだ。


和はひるんで口を閉じ、視線を泳がせた。


和は悪くない。


それはわかっている。


だけど、どうしてもキツク当たってしまう。


そんな自分に嫌悪感を抱き、あたしはため息を吐き出した。


「ごめん」


和の小さな声が、あたしの胸を少しだけ締め付けた。