「お疲れ、チホ!」


3年1組の教室内で唯人がそう言い、拍手をしてくれた。


あたしはなんだか気恥ずかしくなって頭をかく。


大空の成仏は大成功だったと言えるだろう。


死んでからもずっと待っていた弘美ちゃんと2人で成仏できたのだ、あの世にいっても、きっと幸せになれるはずだ。


「やっぱりすごいな、チホちゃんは」


裕が感心したようにそう言った。


「そんなことないよ。あの2人だったから上手に成仏させることができただけ」


褒められれば褒められるほど照れくさくなってしまって、あたしはそう言った。


「謙虚だなぁチホは」


唯人がそう言い、嬉しそうにほほ笑んでいる。


「もう、やめてよ。他の話題にしよ!」


あたしはそう言い、帰りがけに買って帰ったパンを頬張った。


これが今日の晩ご飯だ。


金銭面の問題で、無駄遣いはできなかった。


いつまでここにいる事になるかもわからないし、今からしっかり節約だ。


「明日は俺の番だ。よろしくな」


そう言ってあたしの前に手を差し出して来たのは有馬だった。


あたしはその手にそっと手を伸ばす。


触れられないとわかっているから、手が届く寸前で止めた。


「よろしく」


あたしがそう言うと、有馬はニカッと白い歯をのぞかせて笑ったのだった。