あたしの耳元で女性の名前を言う大空。


「イイヅカヒロミさん?」


「ちょっと、声に出さないでよ!!」


慌てる大空。


「飯塚弘美。ここから少し離れた場所に暮らしている美少女だ」


唯人がそう言うと、大空が更に慌てはじめた。


「お前さ、もう死んでるんだからもう少し落ち着けよ」


有馬に呆れたようにそう言われている。


「家の場所はわかるの?」


「た、たぶん……」


「よし、それじゃみんなで行ってみようか!」


「みんなで!?」


あたしの言葉に目を丸くする大空。


「大空は告白したら消えちゃうんだよ? みんなとお別れの挨拶ができなくていいの?」


正直、幽霊同士の別れまで考える霊媒師なんていないと思う。


彼らの場合は特別だ。


これだけ仲が良くて、幽霊になってからもずっと一緒にいるのだから、お別れくらいさせてあげたい。


成仏すればまたすぐに会えるけどね。


「わ、わかったよ」


大空はそう言い、真っ赤な顔のまま頷いたのだった。