「もちろん。僕が望んだことだからね」


大空はどちらかというと後回しにした方がいいような気がしていた。


成仏するための未練が山ほどありそうに見えたからだ。


「大空の未練はなに?」


あたしがそう聞くと、大空の頬が見る見る内に赤くなっていくのがわかった。


「好きな子がいるんだ」


途端にさっきまでの元気をなくし、小さな声でそう言う大空。


「好きな子?」


「あぁ。思いを伝えないまま死んだから、それが心残りなんだ」


真っ赤になっている理由がわかって、あたしは思わず笑ってしまった。


「な、なんで笑うんだよ!」


「ご、ごめん。なんだか大空って、可愛くて」


そう言って笑って、自分自身で驚いた。


こんな風に男子と一緒に笑う事ができるなんて、今まで考えてもいなかったことだった。


「なんだよ、好きな人くらいチホだっているだろ!?」


そう聞かれて、一瞬夢の中の彼の姿を思い出し、胸が刺されたようにチクリと痛んだ。


だけど、その記憶をすぐにかき消した。