「でも、ここからコンビニまでって少し遠いでしょ?」


長い坂道を下らなければ店はない。


「ここは学校だぞ? 自転車がある」


唯人が自信満々にそう言った。


自転車って、きっと放置自転車のことなんだろうな。


そう思ったけれど、口にすることはやめておいた。


あたしの為に買ってきてくれたパンだ。


ありがたく受け取ることにした。


「食べ終えたら教室集合な」


唯人がそう言い、和は軽くあたしへ向けて会釈をし、背を向けて歩き出した。


あたしはその後ろ姿を見送って、宿直室に戻るとパンの袋を開けてかぶりついたのだった。