「ドア、開けるぞ?」


唯人にそう言われて、あたしは胸の前でギュッと手を握りしめた。


さすがに緊張してきた。


人生初めての仕事だ。


失敗しないようにしなきゃ。


「チホ、本当に大丈夫か?」


緊張しているあたしを見て唯人が心配そうにあたしの顔を覗き込んできた。


「だ、大丈夫よ! それに、あたしに除霊を頼んだのはあんたでしょ! あんたがあたしを信用しなくてどうするの!」


そう言うと、唯人は何度か瞬きをして、そしていつものように柔らかくほほ笑んだ。


「そうだよな。俺はチホを信用している。きっと大丈夫だ」


「そ、そうよ!」