「本当の事だ」


和はまっすぐにあたしを見てそう言いきった。


頬は赤いけれど、真剣な表情だ。


「俺がこんな事を言うのも変かもしれないけど、あの頃のチホに戻ってほしい」


「そ……んなの……」


もう、無理だよ。


髪は腰まで伸びてしまった。


高校でのあたしは暗くて、オレンジ色のグラウンドで友達と遊ぶような生徒じゃなくなってしまった。


「俺は、本当のチホが好きだ」


和の言葉が胸にズシリとのしかかって来る。


本当のあたし。


霊媒師でもなく、読書好きでもない、本当のあたし。


「俺が、手伝うから」


和の手があたしの前髪をそっと撫でた。


「元に戻れるように、俺が手伝うから」