唯人たちが完全に消えるとあたりは暗闇に包まれた。


人のイメージが消えた途端賑やかな人の声も消えて行き、臭が生え放題な神社に戻ってしまった。


「昔は沢山の人に愛されてたんだね」


「そうだな」


和と2人で神社の境内を抜け、石段を下りて行く。


「和はさ、なんでここに呼ばれたの?」


ずっと気になっていたことを、ようやく口に出していた。


みんなが成仏するまでは何も聞かない方がいいと思っていたのだ。


「マヤさんにお願いされてきたんだ」


「ひいばぁちゃんに!?」


あたしは驚いて、危うく石段を踏み外してしまいそうになった。


和があたしの手を掴んでくれたので、どうにか体制を保つことができた。


「そう。夏休みが入ってすぐ、家にマヤさんが来たんだ」


「ひいばぁちゃんってば、和の家まで知ってたんだ」


「チホの事が心配だったんだろ。死んでからもずっとチホを見てたんだ。だから俺の家を突き止める事もできたんだ」


そう言い、和は少し気まずそうにあたしから視線を逸らせた。


「どうして?」


ひいばぁちゃんがあたしを見ていたからと言って、和の家を知っている理由にはならない。


だって、あたしは和の家がどこにあるのか知らないのだから。