「唯人、お祭りに行こう」


あたしはマヤの口を借りる感じでそう言った。


「あぁ……行こう」


唯人がそう言うと、景色がグルリと回転した。


境内に突然屋台が現れ、楽しげな人の声で埋め尽くされる。


太鼓や笛の音が鳴り響き提灯が夜の景色を彩っている。


これが、唯人とマヤが見ていたこ夏祭りの風景だ。


「ねぇ、唯人。夢ク……夢を与える活動をしているみんなは元気?」


マヤがそう聞くと、唯人は頷いた。


「あぁ。俺が戦場へ行くと知っても、相変わらずだ。今度は戦争で荒れた街の普及を手伝いに行くんだと張り切っている。学校側は大賛成で車まで用意したんだ」


「素敵な活動だね」


マヤはそう言いほほ笑んだ。


きっと、夢クラブのみんなはそのバスの中で亡くなったのだと、すぐに気が付いた。


夢がない今の世界に夢を与えるために作ったクラブ。