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「いいお父さんだな」


和にそう言われて、あたしは「そうかな?」と、首を傾げて見せた。


「チホって素直じゃないよな」


和が呆れたようにそう言うので、あたしはムッとして和を睨んだ。


その睨みにひるみ「嘘だよ。ごめん」と、眉を下げた。


「すぐに謝るなら嫌味とか言わないでよね」


あたしはブツブツと文句を言いながら校舎へと戻る。


その背中を追いかけるように「本当に、ごめん」という和の言葉が聞こえてきて、一瞬頬が緩んだ。


だけど聞こえなかったフリをして、あたしは唯人の待つ教室へと向かったのだった。