「いいかも。学校の七不思議探しに行こうよ!」


「はぁ?」


あたしの提案に、今度は目を見開く和。


こんなにコロコロと表情を変えてくれたのはここに来て初めてかもしれない。


「まずはこの部屋が『開かずの扉』ね。次はトイレ? 音楽室?」


「どっちでもいいよ」


そう返事をしながらも、楽しそうに笑う和。


小学校くらいのときは、みんな学校の七不思議に夢中になって、1度は探してみたりしたものだ。


「じゃぁトイレの花子さんを探しに行こう!」


「幽霊を探しに行くって、お前な……」


「なによ、この学校にはもう沢山の幽霊たちと会ってきたじゃん」


「それはそうだけど……」


大空も、有馬も、翔も幽霊だった。


みんな優しくて、愛も夢も希望も持っている幽霊だった。


死んでいるのに、生きている自分を励ましてくれる、変な幽霊だった。


「行こう!」


あたしは楽しくなって、1人で走りだしていたのだった。