一階の突き当り前来ると、南京錠がかけられている教室があった。


「なんだろ、この部屋」


教室の前を見てもプレートがついていない。


「開かずの扉、とか?」


和があたしの後ろからその教室を見て、そう言った。


「開かずの扉?」


「あぁ。どんな学校にもある七不思議。開かずの扉ってよくあるだろ?」


そう言われて、あたしは思わず吹き出してしまった。


たしかにそういう噂はどこの学校にも存在している。


だけど大抵それは人目につかない場所にあったりするものだ。


存在自体があやふやで、現実にあるとは思えない。


あたしが笑った事で、あたしたちの間を流れる空気が少しだけ軽くなったのを感じた。


「なにがおかしいんだよ」


和はあたしを見て不思議そうな表情を浮かべている。


「和って、七不思議とか信じるんだ?」


「別に、信じてるってほどでもないけど……」


そう言いながら和は頭をかいた。