今朝からなんだか積極的にあたしに絡んでくる気がする。


正直和と2人きりでの行動は気まずさが付きまとう。


あたしは助けを求めるように唯人へ視線を向けた。


唯人は裕の事が気にかかるようで、裕の隣に座ったまま動こうとしない。


「行って来いよ。俺は裕と一緒に待ってるから」


「……そっか」


それなら無理に誘う事はできない。


裕の事はあたしも気がかりだし、唯人が一緒にいてくれれば安心だ。


あたしは裕の顔色を見た。


少しだけ青くなっている気がする。


昨日まではあんなに元気だったのに、その面影も見当たらない。


いざ自分の番になってみても、決心がつかないままなのかもしれない。


それならそれで、裕の番は後回しにすればいい。


「裕、考えすぎないで。自分の気持ちに正直になったらいいと思うから」


教室を出る直前、あたしは裕へ向けてそう声をかけたのだった。