買い物から戻って来た和はいつも通りの様子だった。


無口で、あまり人と目を会わさない。


今朝のお礼は夢だったんじゃないかと思えるくらいだ。


和は人よりも不器用な性格をしているのかもしれない。


そんな和の心残りはなんなんだろう?


ふと、そんな事が気になった。


だけど、今日は裕の番だ。


裕はあたしが朝食を食べている間、教室の隅に座ってジッと何かを考えている様子だった。


自分が成仏する日には色々な葛藤もあるだろう、


しばらくすれば決断できると思い、あたしはあえて話しかけないで置く事にした。


「ねぇ、この校舎内を探検してみてもいい?」


誰ともなくそう聞くと「あぁ、別にかまわないんじゃないか?」と、唯人が返事をしてくれた。


この竹丘男子高校に来てから、学校内をしっかり見たことはまだなかった。


裕から話しかけるのを待つまでの間、探検してみたいという気持ちになった。


「あたし、ちょっと探検してみようかな」


そう言い、椅子から立ち上がる。


「それなら、俺も行く」


そう言ったのは和だった。