長い間忘れていたけれど、それがあたしの性格だった。


「ありがとう」


あたしは唯人にそう言い、立ち上がった。


ここへ来て本当のあたしがどんなあたしだったかを、どんどん思い出せている気がする。


唯人に出会って。


みんなに出会って、忘れていた大切なものがまた戻って来たみたいだった。


あたしは花火を片手に翔たちのいる場所まで走った。


煙があたしの来た道を記している。


時々間違えたかもしれない。


時々立ち止まったかもしれない。


だけど今あたしは確かにここにいて、そしてここまで歩いて来た。


花火とみんなの笑顔とあたしの笑い声。


それが今ここにある。


それだけで、強くなれそうな気がしていた。