「夢クラブを作ったのは俺なんだ」


川から上がり、河原で休憩していると唯人がそう言って来た。


「そうなんだ?」


あたしはびしょ濡れの服をギュッと絞ってそう言った。


「あぁ。夢を見る事さえ困難な今の時代に、小さな夢を叶えてあげたい。そんな思いがあった」


「素敵だね」


だけど、唯人は笑っていなかった。


切なそうな表情でまだ遊んでいる3人を見つめている。


その目に光るものが見えた。


川の水か、それとも……。


「俺が夢クラブなんて作らなければ、みんな死ななかったんじゃないかって思うんだ」


その言葉にあたしは目を見開いた。


「な……んで?」


唯人がそんな事を考えているなんて思っていなかったあたしは、一瞬喉に言葉を詰まらせた。


「夢クラブがなければ仲良くなることもなかった。あの日、バスで一番後ろの席に座ることだってなかった」


「そんなの……」


『誰にもわからない事が起こったんだから、仕方がない事だよ』


そう言いたかったけれど、言えなかった。


唯人の目に本物涙が浮かんで見えたから……。