「チホ、お前は何が好きだ?」


「……読書」


そう答えて、疑問が生まれた。


あたしは毎日読書をしている。


沢山の本を読んで、活字に乗って旅をしている。


でも、それは教室内でだけだった。


家に帰れば本なんて開かないし、むしろ活字は苦手な方だった。


「あ、あと霊媒師の仕事を習うのも好き」


そう答えながら、語尾が小さくしぼんでいった。


読書も霊媒師の仕事も、イジメられるようになってから始めたものだと気が付いたから。


「チホ」


唯人が優しくほほ笑みかけて来る。


その笑顔を真っ直ぐ見る事ができず、あたしはまた俯いた。