運転手が全く喋らないので車内は静かだった。 いや、もしかしたら 私のただならぬ雰囲気を察してのことなのかも知れない。 でも、私には実際、 そんな事を考えてる心の有余はなかった。 今かなたに会えなかったら私はもうあの笑顔も あの大きな背中にも 優しく包み込む手にも 会えないかもしれない。 私にはその現実が怖くて なんだか緊張して 手が震えていた。 うまく言えないが 宇宙でたった一人残されたような孤独感だった。 「お姉さん」 ふいに、運転手が私の事を呼んだ。