何とかがんばって、冬和に電話をかけるものの繋がらない。もうすぐライブだから、きっと忙しいよね。
来週は音楽番組の出演が2つもある。
さらにはアリーナでクリスマスとその次の日にライブがあるんだ。教室みたいに小さなところでライブをしていた頃には、とても信じられなかったような広い場所で行われるライブ。
だから、2人でクリスマスは過ごせそうにないから、今日一緒にクリスマスしようねって話をしていた。あたしはこれから冬和が帰ってくるまでに料理を準備して、ケーキを取りに行って、冬和と楽しくクリスマスパーティーをするはずだったのに。
楽しみな気持ちは、あっという間に削がれてしまった。
「……っ、もしもし」
諦めて切ろうとしたとき、愛しい愛しい声が聞こえた。ちょっと焦っているような感じがする。冬和もニュースのこと知ってるのかな。
「月歌(るか)……?」
君の声が、一番安心できる。泣くのは我慢したかったんだけど、涙が出てきてしまった。