※※
わたしは息を切らしながら、辺りを見渡した。
「どうしたかしたの?」
聞きなれた声に振り向くと、お母様が驚いた顔をして立っていたのだ。
「お昼寝をしている間に、義高様がどこかに行かれてしまったの。一緒にお花を見に行く約束をしていたのに」
「彼なら部屋に戻っているわよ。あなたが寝てしまったから、と」
「そっか。よかった。どこかに言ってしまわれたのかと思った」
わたしは胸をなでおろした。
そんなわたしをお母様は複雑そうな顔で見ていた。
「お母様?」
「姫は義高殿のことが好きなの?」
好きという言葉が心にぬくもりをもたらした。わたしは顔を綻ばせると、首を縦に振った。
お母様は顔を綻ばせた。
「親同士が決めた婚姻だからと思っていたけれど、あなたたちにはあまり関係なかったのね」
わたしは意味が分からずに首を傾げた。
「義高殿が待っているわ。早く行きなさい」
「分かりました」
歩きかけたわたしの足が止まった。
「お母様、義高様とお城の外に出かけていい?」
「お城の中だけにしなさい」
わたしはお母様の言葉に頷いた。
返事は分かっていたが、残念な気持ちはぬぐえなかった。
あれから、海を見に行けることはほとんどなく、遊ぶときはいつも城の中だけだ。
わたしは息を切らしながら、辺りを見渡した。
「どうしたかしたの?」
聞きなれた声に振り向くと、お母様が驚いた顔をして立っていたのだ。
「お昼寝をしている間に、義高様がどこかに行かれてしまったの。一緒にお花を見に行く約束をしていたのに」
「彼なら部屋に戻っているわよ。あなたが寝てしまったから、と」
「そっか。よかった。どこかに言ってしまわれたのかと思った」
わたしは胸をなでおろした。
そんなわたしをお母様は複雑そうな顔で見ていた。
「お母様?」
「姫は義高殿のことが好きなの?」
好きという言葉が心にぬくもりをもたらした。わたしは顔を綻ばせると、首を縦に振った。
お母様は顔を綻ばせた。
「親同士が決めた婚姻だからと思っていたけれど、あなたたちにはあまり関係なかったのね」
わたしは意味が分からずに首を傾げた。
「義高殿が待っているわ。早く行きなさい」
「分かりました」
歩きかけたわたしの足が止まった。
「お母様、義高様とお城の外に出かけていい?」
「お城の中だけにしなさい」
わたしはお母様の言葉に頷いた。
返事は分かっていたが、残念な気持ちはぬぐえなかった。
あれから、海を見に行けることはほとんどなく、遊ぶときはいつも城の中だけだ。