「大学に入ったらバイトもするし、そしたら一緒に行きませんか? わたしも行ってみたい」
わたしは精一杯の理由を取り繕い、そう口にした。
彼は寂しそうに笑っていた。
「分かった。早くて二年後だな。それまで俺も楽しみにしておくよ」
「ごめんなさい」
「別に気にしないでいいよ。二年もあればしっかり計画も練れるだろうしね。どこに行きたいか考えておいて」
「はい」
二年後の約束が実現されるかは分からない。彼と疎遠になっているかもしれない。けれど、今はこの約束が実現するものとして考えておきたかった。
わたしは本を返すと、彼と一緒に図書館を出た。
「川本さんはどこに行きたいか考えていますか?」
「大姫と義高のものではないかと言われている墓もあるけれど、やっぱり海かな。あの夢を見たときから妙に気になるんだ」
「わたしもその気持ちはわかります。きっとあの海で二人は初めて打ち解けたんですよね。まだ完全ではないにせよ」
川本さんははにかんだような笑みを浮かべていた。
同じ体験をしているからこそ、こうして気持ちを共有できるのだろう。
わたしは精一杯の理由を取り繕い、そう口にした。
彼は寂しそうに笑っていた。
「分かった。早くて二年後だな。それまで俺も楽しみにしておくよ」
「ごめんなさい」
「別に気にしないでいいよ。二年もあればしっかり計画も練れるだろうしね。どこに行きたいか考えておいて」
「はい」
二年後の約束が実現されるかは分からない。彼と疎遠になっているかもしれない。けれど、今はこの約束が実現するものとして考えておきたかった。
わたしは本を返すと、彼と一緒に図書館を出た。
「川本さんはどこに行きたいか考えていますか?」
「大姫と義高のものではないかと言われている墓もあるけれど、やっぱり海かな。あの夢を見たときから妙に気になるんだ」
「わたしもその気持ちはわかります。きっとあの海で二人は初めて打ち解けたんですよね。まだ完全ではないにせよ」
川本さんははにかんだような笑みを浮かべていた。
同じ体験をしているからこそ、こうして気持ちを共有できるのだろう。



