わたしは山積みされた本を見て、くらくらとめまいが覚えそうになった。約束の比、彼と図書館で待ちあわせをしたのだが、わたしを出迎えてくれたのは川本さんと積まれた本の数々だった。そして、その一冊ずつが分厚い。歴史書のようなものから、頼朝や大姫の母親である北条政子の伝記的なものまであった。

 わたしは川本さんの正面に座った。

「その本を読みますね」
「いや、これは目を通したんだけど、そんなに載ってないな」

「全部?」
「といってもすべては読んでないよ。出てくる可能性のある部分は限られているしね。学校の図書室でも調べてみたけど、同じようなものだった」

 川本さんと会えると胸を高鳴らせながら来たのに、彼にとっては本当に作業のようだ。

 彼の行動は間違ってはいないのだけど。

 わたしと川本さんは本を棚に戻しに行くことにした。

 そのとき、ふと大姫と義高について書かれたと思しき小説のようなものを見かけた。

「こうしたものを読んでみてもいいんだろうけど、どうしても創作が多くなりそうだよな」