わたしはあの人がいる部屋の前に来ると、彼と同じくらいの年ごろの男性が出てきた。小太郎という名前ということはお母様から教えてもらった。

「今から外に出かけませんか?」
「外に?」

 彼は怪訝そうな顔をしていた。
 仲良くなる方法を考えた末、一緒に遊びに行くことが一番だと考えたのだ。

「お父様とお母様からは許可をもらいました」

 半ば強引にそう両親を説き伏せたのだ。
 もっとも見張りの人はつくようだが、そのあたりはわたしが折れるしかなかった。

 二人を半ば強引に部屋の外に連れ出し、その足で庭に出る。庭には植物が咲き誇っていた。
 寒い冬を終え、新しい花が咲きはじめる頃合いだ。

 少し離れた場所から数人が睨みを利かせていたが、わたしは気にしないことにした。
 だが、二人はそうはいかないようで、目のやりどころがないのか俯いていた。

「この庭にはいろいろな花が咲いているの。きれいでしょう」

 わたしの問いかけにも、彼らはただ頷くだけだった。
 このままだと彼と仲良くなるなんて無理だ。きっと今日も体調が優れないのだろう。
 無理に連れ出して悪いことをしてしまった。