もう一度君に会えたなら

 それ以前に川本さんと会ったとき、いや、その前から同じような感覚があった。それがわたしの記憶だったとしたなら、わたしは頼朝の娘として過去にこの日本で生まれたのだろうか。そして、今ここで生まれ、彼に出会った、と。

 そんなの非現実的だ。だが、あり得ないと言い切れないのは同じ夢を川本さんが見ていたということだ。
 だったらどうなるのだろう。
 わたしは首を横に振った。

 わたしは他の誰でもない、川本さんが好きなのだ。だから、彼と一緒にいたいと思う。
 わたしの家族と川本さんの親にどんな因縁があったとしても。

「会いたい」

 わたしの口から本音が毀れた。
 今までお母さんにきづかって彼とは合わないようにしてきた。でも、このままじゃ嫌だ。

 もっと一緒にいたい。彼のことを知りたいし、わたしのことを知ってほしい。
 わたしの人生にもっとあの人が関わってほしい。

 わたしは反射的に立ち上がると、そのまま部屋を飛び出した。階段をおりたところで、リビングから出てきたお母さんとはち合わせをした。お母さんはわたしを見て目を見張った。

「どこかに出かけるの?」